人のふり見て…

今日の日経に梅棹忠夫のエピソードが載っていた。若い頃の失敗から学んだ教訓を語ったものだ。

学問上の論争を繰り返し、正しいと思ったことは相手かまわず断固主張し、ときには相手の誤りや矛盾をとことん追及して、その主張を理論で包囲して逃げ道をふさぎ、徹底的にやっつけることもあった、という氏に対し、桑原武夫先生は「論争は大いにけっこう。でも、自分が優勢なときほど相手に退路を作っておいてやったほうがええなあ。そうしないと恨みが残り、闇討ちにあうかもしれん」と諭したという。

なるほどそういったことは自分でも知らず知らずのうちに犯してしまっている愚ではないかと感じる。特に自分が得意分野だと「思い込んでいる」話題のときは、相手の意見を封じて結論を断定してしまい、反論や意見をまったく受けつけないがときどきある気がする。本当に恥ずかしい話だ。

ところで、昨日はそれとちょうど逆のことが起こった。つまり被害者になった。

今通っている某大学の講義でのことだ。自分が制作している作品のエスキースを担当教師に見せたところケチョンケチョンにけなされた。

相手のものの言い方はまさに冒頭の通りで、自分の専門分野のことだからだろう、こちらの意見をはなから否定し、あからさまに居丈高な態度で自分の主観を押しつけてきたのだった。最後はもう完全に論破したと安心したのか態度は軟化したが、果たしてこれが学生に対する教師の振るまいとして本当に正しいのだろうか?

他人のふりみてナントカではないが、自分はこのようなみっともない行動は決して取らないように心がけようとひそかに誓ったのであった。