プロ野球オーナーたちによる蹂躙

オリックス近鉄の合併を引き鉄にして、パ・リーグの残り4球団が新たな合従連衡の方策を探っているとの報道がなされた。

この、10球団1リーグにすれば全球団黒字経営できるはずという経営者側の論理は、まさにファンを無視したものだ。

顧客のニーズを吸い上げ、それを具現化する努力を怠ってきたツケが赤字を招いていることは明らかであり、その経営体制を生き残らせる限り、10球団化しただけで黒字になるという楽観論は絵空事だろう。客の顔を見ずに商売をしているということだからだ。

それを例証するのが、ライブドア堀江社長近鉄買収に名乗りを上げたのに対して、選手会やファンが歓迎の意を示したのに対し、オーナー会側が頭ごなしの拒絶反応を示したことに見られる。

この事件で、ファンや選手を置き去りにし、自分の既得権益だけに拘泥する経営者たちの古い体質が明らかにされたと言ってもいいだろう。どの経営者も球団を会社本体の広告塔としか捉えていない現状が浮き彫りにされている。これでは日本の野球文化は廃れていくばかりだろう。
行き過ぎた戦力不均衡に、今年は野球中継にテレビのチャンネルを合わせることもほとんどなくなったが、そうしたどこかしらけた空気が具体的な形で露わになってきたと考えることもできる。

さて、西武の堤オーナーが1リーグ化に特にご執心だが、西武本体が経営不振に陥っているのも、この経営者が80年代の成功体験に引きずられ、その後の消費者の価値観の変化から取り残されたことによるものではなかったろうか。

結局真相はうやむやにされてしまった昨年の小久保無償譲渡問題などをみても、オーナーらによるファン無視の施策にはほとほと愛想が尽きるというものだ。