アフガン零年

タリバン政権時代にいかに女性の人権が抑圧されてきたかが、ひとりの少女の運命を通して描かれる。

人権意識が発達し男女平等の思想が植えつけられた、いわゆる先進国の論理では考えられないことだろうし、もちろん許されることではない。ただここにイスラムの思想という、キリスト教圏とは全く相入れない考え方への視点を忘れてはならないだろう。

タリバンコーランの教えに対しよりラディカルな解釈をすることで知られていた。男性が女性より優位と見なされていることがイスラム社会ではある程度当然であることはだれもが認識しているところだろう。

そしてそれを極端な形で遂行したのがタリバンであったと考えることも全然できないわけでもなかろう。

理由はどうあれ罪のない人間が虐げられるのは許されてはならないことだが、キリスト教の論理が最も正しいとする(特に今のアメリカの)考え方に一石を投じる映画として見ることも可能ではないだろうか。
これを単にヒューマニズムの観点からだけ見てしまうと、表層的で過激な子供っぽい反応を呼ぶだけだ。このような映画だけを評価しがちな日本人のナイーブさにも問題があるのではないか。