野町和嘉:祈りの大地

ネットで当たった招待券片手に、恵比寿の写真美術館へ。

メッカ、アフリカ、チベットバチカンなどを中心に人間と信仰との切り離すことのできない関係をカメラに収め続けてきた写真家の展覧会である。

展示されているのは主に80〜90年代の作品で、今現在の状況は大きく変わってしまった場所もあるだろうが、特にアフリカで、ひとびとが全く手の加わっていないむき出しの自然と完全に合一して生活を営む姿を切り取った一連の写真は最もインパクトが強かった。

ここに記録された風景と引き比べてみると、われわれのいわゆる文明生活は、取り巻かれた環境にいかに制御されたものであるかという思いが改めてわき上がってくる。

ありとあらゆるモノに取り囲まれ、あたかも究極の自由を手に入れたかのような錯覚に陥ってはいないかもう一度考え直す機会を与えられた気がする。