天文館にて
商店街が縦横無尽に組み合わされており、しばらくブラブラしているうちに自分がどこにいるのかわからなくなってくる。
並んでいる店をひやかすと、薩摩揚屋や軽羹屋を除けばだいたい全国どこにでも見られるチェーン店が大半であり、歩いている若者のファッションを見ても東京とさして変わらない印象。見た目だけで言えば全国の均質化がますます進行していると考えていいかもしれない。
情報の格差が少なくなりなおかつ、地方都市の景観が、少なくとも繁華エリアに関してはどこも似たようになり無個性化を辿っていることと無縁ではないだろう。
全国どこにいても同じ情報や同じ店で売っているパーツが手に入れられる環境が間違いなく整いつつあることを実感する。各都会にかつてあったはずの、個性と言えるようなものが消え去ろうとしている。
今ひとびとが「スローライフ」「田舎」「癒し」などのキーワードに導かれる価値観に惹かれるのは、そういった現象と表裏の関係にあるのではないかと思える。