イラクの人質殺害

イラクで人質になっていた日本人の男が遺体で発見された。

本人が亡くなってしまった今となってはこの男がイラクに入った理由は明らかになることはないだろうが、いわゆる「自分探し」の一環だったのではないかなどという噂もある。

無法の戦場に行かなければ見つけられない自分っていったい何?て感じだが、まあそこまで深い考えはなかったろう。

自分の経験に照らして言えば、戦争中のイラクは別格ではあるが、一般に治安が悪いと喧伝され、またそう信じられている国や都市でも、実際に行ってみるとそれほどでもないということが往々にしてある。

多くの国を訪れていると、その感覚が普通になり、徐々に麻痺して、刺激が足りないと感じられるようになるということは容易に想像できることだ。

この男もイスラエル、ヨルダンを経由してバグダッドに向かったとのことなので、刺激不足感から来るちょっとした好奇心レベルだったのではないか。実際ヨルダンて自分も行ったことあるが結構退屈な国かも。

また、イラクでサバイバルしてきたよとか帰国してから友達に自慢すれば尊敬されること請け合いだし、そんなヤマっ気も多分にあったのではないか。

そうした意味では殺されて何もかもが消え去ってしまうことと比べての代償が、小さすぎやしないかとも思うがその辺は本人の価値観の問題だから、他人がどうこう言う筋合いではない。

外務省としては結果がどうあれこの案件が早々に決着してホッとしてるだろう。大臣が葬式で焼香上げれば一件落着だし、今イラクなんか行くと痛い目に遭うよ、国は一切面倒みないよというメッセージを効果的に国民に伝えることができたということで、むしろありがたいくらいだと思っているかもしれない。

いずれにせよ、割と早くニュース価値がなくなったことで、マスコミから忘れ去られるのもあっという間だろう。2週間後には誰も話題にすることはなくなるに違いない。