ヴェンダース批判

自分的に評価の低いヴェンダースを見直してみようかと思い、「ゴールキーパーの不安」「都会のアリス」「まわり道」を見た。

ヴェンダースの映画は一言でいえば、足取りの極めて重いロードムービーだ。

省略を効かせたカットの割り方は好ましいのだが(ワンパターンだけど)、人物が動かないのだ。そのギャップあるいはそこに生まれる不協和音が狙いだとする読み方もありそうだが、私にはそう感じることはできない。
セオリー崩しは大いに結構だし、よくできた実験映画なども大好きだが、飽くまでもそれがエンターテインメントに昇華しているならばという前提があってのことだ。

あえて完成度をないがしろにするならそれは観客に対する冒涜だし、やろうと思ってできないなら才能がないということだろう。私は後者だと考えているのだが。

それと、人物の描き方が平板で類型的なところもこの人の特徴だ。そもそもこの人が嫌いになったのは「パリ・テキサス」を見たのがきっかけだが、その時の印象はそれほど間違っていなかったようだ。