殺人の追憶

シネマスクエア東急で日曜・祝日の朝9時からの上映が1000円ということで「殺人の追憶」を見に行く。

軍事政権下での連続レイプ殺人事件を扱った映画。ただこの事件が未解決で終わったこともあり、どこに軸足を置くかはっきりしないプロットになってしまった。

当時の政権によって抑圧された人々の行動が、それぞれの立場を踏まえて丹念に描かれるが、主題である殺人との整合性が提示されるわけでもないため、残念ながら見ている人間を戸惑わせる結果になってしまった。

タイトルに採用した「殺人の追憶」はラストに描かれ、映像的には鮮烈なイメージを与えるとはいえ、いかんせん全体としての構築力の弱さが先だってしまうため、取ってつけた感が否めない。

これらはたぶんこの監督の演出のクセだと思うので、今後他の脚本でも同じ轍を踏むことになる気がする。
骨太ではあるが、残念ながら限界も見え隠れする映画という評価が妥当だろう。